2010年11月24日

さよならフォークロア

先日読みましたコミックの感想です。
よきものでした
□さよならフォークロア
■かずまこをさま
 ○イラスト評価:★★★★☆(3.8)
 ○内容評価:★★★★☆(4.2)
 ○百合度評価:★★★★☆(4.2)
 ○総合評価:★★★★☆(4.0)

こちらは先日『百合姫』とともに購入をしましたもので、百合が確実な作品ということもあり購入をしました作品となります。
コミックスとしましては百合姫コミックス…こちらは新装なる前の『百合姫』にて連載されておりました作品となります。
こちらの作者さまは以前読みました『純水アドレッセンス』と同じかたとなります。

内容としては、極端に女の子同士の恋愛を恐れる風潮のある女子校での二人の女の子のお話となります。
その学校では過去に想い合う二人の女の子が心中をしてしまい、彼女たちが心中をしてしまった月曜日に女性に触れてしまうと彼女たちに呪われてしまう、という噂がございまして、ほとんどの生徒さんはそれを信じていて女の子同士の恋などもっての他、という感覚となっております。
その学校の学生寮に入っております主人公、高瀬さん(お名前は出てきましたっけ…ほとんどの場面で「高瀬さん」か「先輩」としか他の人に呼ばれていない気がいたします)もその中のお一人なのでございますけれど、ある日学校の裏庭で泣いている一人の少女と出会います。
その少女はそのすぐ後に高瀬さんの寮でのルームメイトで1年生(高瀬さんは2年生)の真白純鳥さんだと解るのですけれど、その純鳥さんは学校での例の噂など気にせず過剰なスキンシップを求めてまいりますので、高瀬さんも戸惑い気味でございます。
その純鳥さんはこの学校からはやく出て姉に会いたいと思っていらっしゃり、そのためにその噂を逆用して退学にでもなろう、と考えます。
つまり、高瀬さんに恋人の振りをしてほしい、と頼んできたのでございました。
ちょっとお人よしの感のございます、そして内心では純鳥さんに惹かれてもいらっしゃる高瀬さんはそのお願いを受け入れ、恋人の振りをしてあげるのでございますけれども…。

ここまであらすじを書けばだいたい解ります様に、当初は恋人の振りでしたものの、高瀬さん、それに純鳥さんもどんどんお互いに惹かれあっていってしまい、最後にはお互いのことが好きになるのでございました。
そのことが教師にまで伝わってしまいまして処分を受けたりもしてしまうのでございますけれど…最後には学校を縛っていた呪いという束縛も解かれ、めでたしめでたしで終わってくださいます。
恋人の振りをするうちに、あるいは自分の気持ちを偽ってお付き合いをするうちに…という展開は以前読みました『三日月の蜜』など結構見受けられますけれども、この作品の高瀬さんと純鳥さんは当初からお互いに惹かれあっていらした様にも見えた気が…?
ちなみに、純夏さんの姉につきましては作中では結構謎の存在でございましたけれど、描きおろしの『whiff of fairy tale』によりますとその心中(未遂)事件の当事者であった可能性がある、かもしれません。
もう一つの描きおろしでは無事恋人になれた後のお二人の姿が描かれておりまして、純鳥さんがとてもかわいらしくてよろしゅうございました…やはりハッピーエンド後の幸せなお二人の姿を少しだけでも見ることができる、というのはよきものでございます。
さらにちなみに、巻末には全く別の短編も1つ収録されておりました。

イラストはよきもの…個人的には結構好きでございます。
百合的には言うまでもなくお二人の関係…。
ともあれ、1冊完結のお話でございますけれど、よき作品でございました…作品の雰囲気もキャラクターも舞台も、それに百合的にも言うことはございません(雰囲気としましてはどうでしょう、萌え路線でも過激路線でも、少女マンガ風でもないもので、個人的にはこういった雰囲気のものが一番落ち着くかも…?)
そういえば『純水アドレッセンス』といいこの作者さまはよき作品を描いてくださるのでございますけれども、新装なった『百合姫』にはいらっしゃらず、次号の予告にもお名前がございませんでした…ちょっとさみしいです(落ち着いたものとなった今の『百合姫』の雰囲気に一番合いそうかもしれないかたでございますのに…)