□ひらり、 ピュア百合アンソロジー(5)
■アンソロジー
○イラスト評価:★★★★☆(3.5)
○内容評価:★★★★★(4.5)
○百合度評価:★★★★☆(4.0)
○総合評価:★★★★☆(4.0)
こちらは先日色々なコミックとともに購入をしましたもので、過去に既刊を読んでおりますこともあり購入をしましたものとなります。
コミックスとしましてはこれ以外には持っていないものとなるでしょうか。
内容としましては、タイトルどおり百合なアンソロジーとなっておりまして、以前第4巻を読んでおります様に、以前読んでおります『つぼみ』の隔月刊ほどではないながらも定期的に刊行してくださっている作品となるのでございましょうか。
本の分厚さもやっぱりその『つぼみ』並の厚さでございまして、ボリュームも十分…一時期の百合アンソロジー繁栄期にございました作品たちのうち、以前読みました『百合少女』と以前読みました『ComicリリィPLUS』はどうやらもう続刊が出ない模様ながら、これだけのボリュームのアンソロジーが続いてくださっているというのは満足すべきことかなと思います。
今回参加されていらっしゃる作家さまたちの中で私がコミックなどを持っているかたといたしましては、お話の収録順に以前新装版を読みました『最後の制服』の袴田めらさまに以前読みました『まんがの作り方』の平尾アウリさまのみ…『つぼみ』、あるいは『百合姫』などに較べますとコミックなどでおなじみのかたのお姿は少ないですけれど、それはそれで新鮮でございますし特に問題はございません。
お話のほうたちは、やっぱり「ピュア百合アンソロジー」とございます様に過激さ先行の作品ではなく、既刊と同じくどちらかといえば淡い雰囲気のものが揃っております。
でも淡すぎるあまり、はじめの2つのお話は読んでいて胸が痛くなるお話でもございました…いえ、よいお話ではあったのでございますけれど、やはり片想いで終わってしまうお話などよりハッピーエンドで終わってくださるお話のほうが読後感がよろしゅうございまして…。
なんていいましても2つめのお話、袴田めらさまの『さろめりっく』はあれで完結ではなくってまだ続くわけでございますけれども…はい、この『ひらり、』もアンソロジーながらに第5巻まで続きますと連載作品がちらほら見られてまいります。
個人的にはアンソロジーには連載作品よりも良質な読み切りを求めておりまして、『つぼみ』みたいに連載作品が全体の9割以上を占められたりいたしますとちょっと…って気持ちになりますけれど、この『ひらり、』ではその魔法を使える女の子のお話(『さろめりっく』)やふし研のお話(桑田乃梨子さまの『箱庭コスモス』)にアイドルのお話(TONOさまの『ピンク・ラッシュ』)、あるいは小さな精霊さんたちの4コマ(遠田志帆さまの『みみみこのこ』)などそう数が多くございませんからまだよろしゅうございましょう。
…こうして見ますと、連載作品っていずれも設定が特殊でしたりと一癖あるものばかり…?
今回個人的に一番好印象でございましたのは高嶋ひろみさまの『ラブソングと加瀬さん。』でございましょうか…って、これも一応連載作品扱いなのかもしれませんけれど、前のお話を知らなくっても普通に楽しめる作品となっております(その前のお話たちもよろしい感じ…この作品の主役お二人が見ていてとても微笑ましいのでございます)
その他、ささだあすかさまの『ふわふわのきもち』や未幡さまの『一日白紙』などもとてもよろしく、やっぱり百合の王道でございます学生さんを主役とした淡い雰囲気の百合のお話に私は強く惹かれるみたいでございます(そういうお話のお二人は微笑ましい感じなことが多いですから…そういうお二人がまた好きなのでございました)
その他、ふかさくえみさまの『ツバキ准教授の門限』などもよろしく、やはり神がかっておりました以前読みました第2巻ほどではないかもしれないながら、それでも個人的にはとても好みな読み切りのお話がおおく収録されていたかなと思います。
…ところで、橋本みつるさまの『木陰にて』は母親が津波に飲まれてしまったりして後遺症の残る少女のお話みたいですけれど、これって…。
イラストのほうはアンソロジーでございますので玉石混淆でございますけれど、悪くございません。
百合的にはやっぱり作品によってまちまちではございますけれど、百合アンソロジーでございますしそのあたりは問題ございません。
ともあれ、第6巻が12月に発売予定ともう決定しているみたいでございますし、それに「ひらり、GLコミック大賞」という賞も作っておられたりいたしますし、こちらはまだきちんと続いてくださるみたい…今後も定期的な刊行を期待いたしましょう(贅沢をいえば小特集を復活させてもらいたいのですけれど…/何)
それに、『百合少女』の続刊がないとなりますと、現在残る百合雑誌orアンソロジーの中で個人的に一番好みな雰囲気なのはこの『ひらり、』となりますし、その面でも長く続いていただきたいものでございます…はい、個人的には『百合姫』や『つぼみ』よりこの『ひらり、』派でございます。