□境界線上のリンボ(2)
■鳥取砂丘さま
○イラスト評価:★★★☆☆(2.8)
○内容評価:★★★★★(4.7)
○百合度評価:★★☆☆☆(1.5)
○総合評価:★★★★☆(4.0)
こちらは先日色々なコミックなどとともに購入をしましたもので、過去に既刊を読んでおりますことから購入をしました作品となります。
コミックスとしましてはおなじみとなっておりますまんがタイムきららコミックスとなっております。
内容としては、リンボという少し不思議な街で暮らす皆さんを描いた4コマとなります。
と、説明がやはり以前読みました第1巻の感想と同じとなってしまいましたので、登場人物の紹介などは省略をいたします。
この巻でも前半から中盤にかけましてはちょっとした波乱はあったりしますものの基本的にはフゥさんと周囲の皆さまの穏やかで少し不思議な日常を描いております。
ちょっとした波乱というのは、例えば人々に変な魔法をかけてくる魔法使いの騒動でございましたり、妖精さんの身の振り方でございましたり…でも一番特筆すべきことは、やはりシルヴィさんのことでございましょう。
シルヴィさんは市場で働いております、活発でさばさばとした性格の女の子なのでございますけれども、実は彼女は幼い頃に生き別れたフゥさんの妹だということがひょんなことから判明いたします。
妹、といいましても小柄なフゥさんに対しましてシルヴィさんはすらっと背の高い、さらにそんな性格のかたでございますので、姉妹が逆に見えるのでございました…。
そのフゥさんとシルヴィさんなのでございますけれども、第1巻でも触れました様に人間とエルフとのハーフということで周囲の人々から疎まれておりまして、幼い頃はそんな状況でフゥさんがシルヴィさんのことをしっかりと守ってあげていたといいます。
けれど、ある日突然フゥさんはシルヴィさんの前から姿を消してしまわれ、以来シルヴィさんはつらい日々を送ることに…その様な過去がございますので当初シルヴィさんはフゥさんになかなか心を許しませんでしたけれども、フゥさんが姿を消した理由を知るに至りお二人の関係もよくなり、昔の様なとても仲のよい姉妹になれました。
…フゥさんがかつてどうしてシルヴィさんの前から姿を消したのかといえば…これはフゥさんの性格を考えればよく解る話で、気持ちもよく解ります。
と、後半では皆さんの暮らすこのリンボが崩壊の危機に直面するという波乱が生じます。
このリンボは魔導機械の力によって空に浮いていたのでございますけれども、下部に人間たちが違法に暮らす街がございまして、それが肥大化して重くなりすぎたために街が落下する危機になったのでございます。
色々な種族が暮らしているリンボの下部にその様な場所があったというのは少し驚きでございましたけれども、人間たちがそこで暮らしている理由というのが、魔導機械によって仕事を失ったから、といいます…そうしたことなどもあり、そこの人間たちは上で暮らす人々のことを快く思っておりません。
さらに、リンボは結果として下部を捨て去ることになりまして、そこで暮らしてきた人間たちは上部へ避難をしてくるわけでございますけれども、そこで上部の人々といさかいが起こってしまいまして…けれど、それを防いだのがフゥさんでございました。
いえ、それほど大それたことをしたわけではないのでございますけれども、上の住人と下の住人を繋ぎ合わせたという意味ではとても大きな行動で、また昔の彼女でしたらとてもできなかったことかとも思われますし、彼女の成長も見ることができました。
結局リンボは落下してしまい下部は完全に失われてしまったのでございますけれども、下部の人間たちも街になじんでいって…というところで、まずはめでたしめでたしでございました。
はい、この作品はこの巻で最終巻でございました…もう少しフゥさんや皆さんの色々な日常の光景を読んでみたかった気がしますけれども、そうした感想はたいていどの良作でも浮かべてしまいますし贅沢でございましょうか(この作品の終わりかた自体はとてもよろしいものでございましたし)
イラストは悪くございません。
百合的にはフゥさんとシルヴィさんの姉妹の関係がほのかによい感じではございますけれども、この作品では百合などはそう気にしないほうがよろしいでしょう。
ともあれ、先日購入しました数ある豪華なきらら系コミックスの中からまずこれを読んでみましたけれども、それは間違っていなかったかと思います…百合的にはないのですけれども、それを補ってあまりある内容の、よい作品でございました。
やはり個人的にはこうしたファンタジーな世界観の、そして登場人物があたたかい雰囲気を持ったあたたかいお話、というのはかなり好みでございまして(以前しました『ととモノ。3』とか…)、さらにきらら系ではそうした雰囲気を持った作品というのはかなり少ないかとも思いますし(以前読みました『SORA -そら-』など、ないこともございませんけれども)、そういう意味でもよいものでございました。
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